ベッケンバウアーの憂鬱

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「マホは、あれよね。いろいろカオスな空間にいそうよね。下着が散乱してそう」  チトセは視線を上げ 「あーわかる、それは。マホ絶対カオスだわ、だいたいブラにお菓子乗せて引っ掛けてる時点でクソすぎるしな。  あとはあれじゃん、ぬいぐるみとか人形の家とかさ、ああいうの何気に置いてそうだよな」  マホはキョトンとして 「あるよ? こんな感じの家でウサギ乗ってるやつ」  と手で表す。 「いや、あんのかよっ! やっぱカオスだな……なんでウサギ乗ってんだよ、しかも」 「マホねぇ、あれもあるの! コロコロ! すごくなぁい?」 「いやウチにもあるし」  マホは、手でコロコロしながら 「こやってね。コロってるのぉ、たまにぃー」 「なに、コロってるって。初めて聞いたわ」  するとマホは、ポンっと手を叩き 「そうだ! ユウコの家ってさぁ、犬飼ってるんでしょ? 良いなぁなんて名前だっけ?」 「そうよ。名前は、ヴォルフガング・クレスティル・ジョゼフ・クリエン・ベッケンバウアーよ」  数秒沈黙した後、チトセが口を開く。 「え、いやいや何それ、長すぎだろ。マリーアントワネットかよ。  ってかそれさ、普段何て呼んでんの?」  するとニコリとして 「呼ぶときは、頭と尾の語を取って、ヴォアね」 「じゃあ最初からその名前つけろよっ! マジでなんでそんな名前つけたわけ?」  ユウコは切ない顔になり
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