ベッケンバウアーの憂鬱

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「これにはね、深い訳があるのよ。親の名前を繋げていったら、こうなってしまったの。  ベッケンバウアーとクリエンの子、ジョゼフ。ジョゼフとクレスティルの子、ヴォルフガング……。  子犬は、一匹を残して譲渡してしまうから、ヴォルフガングは選ばれし子、という事になるわね。  そして、親の特徴をよく受けついで、とてもお利口なのよ。物覚えはよく、芸もできて……面影もあるの。脈々と受け継がれ行く魂ね。そうそう、凛々しい目は亡きベッケンバウアーを、彷彿とさせるのよ。  ふふ、必死に激しい交尾をして種付けを行った賜物ね」  これにチトセは冷めた目で 「おい……途中まで真面目に聞き入っちゃった気持ち返せよ。最後の一言、めっちゃ要らないんだけどーー」
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