シーズン5【 スイートテン 】前編*結婚十年、パパにチャンス到来!*

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 こんなこと。気心知れた田窪さんならともかく――。こんな、恩師の課長とも話さなくてはならないだなんて。 「他にご存じですか」 「いや。二人が昔は深い仲だったという噂が流れたとしか。だがそうなったらどうなるかは、『女の園』を見てきた俺も徹平もすぐにわかるよな?」  判る、判りすぎるほど判る。女特有の非難や妬みがそれをキッカケに美佳子を真ん中にして吹き荒れる様が目に浮かぶ。  僕の拳が真っ赤になる。握りすぎて燃えているようだった。ここに沖田がいたら、今度は僕が殴りかかっていたかも知れない。 「美佳ちゃん、今度は必死に反論したようだよ。だけどそれが逆効果で噂に火を注いでしまったようなんだ。黙ってやりすごすことも彼女なら出来ただろうけど。やっぱり徹平に迷惑をかけたくなくて今度はなりふりかまわず必死だったんじゃないかな。それが余計に本当のことと思わせてしまったみたいだ。今度は味方なし。一人では戦うには三ヶ月が限度だったんだろうね」 「どうして……僕に……」 「すまん」
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