シーズン5【 スイートテン 】後編*男は選ばないと、酷い目に遭う*

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 でも彼女は。僕のそんな少ししか持っていない力がいつか大きくなるとずっと信じてくれていた? それを結婚十年目にして初めて知り、僕の胸が熱くなる。とてつもない感激が襲ってくる……! だが美佳子がそこでまた、大きな瞳から涙をぼろっとこぼした。 「なのに……。私はまた、貴方のチャンスに大きなリスクを負わせてしまうのね」  本部に行くことは、あの沖田と仕事をすることを意味する。それを美佳子もすぐさま思い浮かべたのだろう。 「美佳子、僕は……」 『大丈夫だよ』と言って見せようとしたら、その前に美佳子が泣き崩れ、ぺたりと床にへたれこんでしまった。  そして許しを請うように僕の足にすがってきた。 「私、本当に貴方の疫病神。本当に、あんな男に関わったばかりに……。あの男、徹平君が本部のコンサル室に行ったら、絶対になにか仕掛けてくると思うの。彼、私達のこと酷く妬んでいる。だって、私が本部のコルセンを辞めるって言いだしたのも……」 「知っている。今日、課長から聞いた」
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