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「貧乏くじかあ。なるほどねえ」
美佳子が疫病神なのではなく、貧乏くじを引いてしまっただけ。そう思えば、僕以上に美佳子も気が楽になるだろうか?
「そっか。貧乏くじを持っているから、仕方がなかったのか」
「そうですね。貧乏くじのマイナス効果は少なくとも一度は受けないと、良い方向には進めないようです」
『はあ』と疲れた溜め息をつく落合さん。彼女自身がそうだったから。沖田と関わってすさんだ心を綺麗に浄化するまでに自分自身で酷く追い込んだ。そこを抜けて今の彼女がいる。それは美佳子も同様、再就職でその呪いを受けたことになるのだろうか。
「係長。今度、本部コンサル室の課長候補になっているというのは本当なのですか」
まだ誰もこの支局では知るはずもないことを知っていて僕は驚く。
「どうして知っているの?」
「本部ではもう噂になっていますよ。特に営業では、佐川係長が来ることを待ち望んでいるようです」
「本部ではもうそうなっているの!?」
支局との情報公開の差に僕は唖然とする。
「それだけ、法人コンサルが荒れているということですよ。私も佐川さんが適任だと思っています。ですけどね……」
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