エピローグ 【 お椿さん 】*私が貴方と結婚したのはね……?*

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「徹平君って真面目だったじゃない。きっと私みたいに男性とばかり噂になっている浮かれた女なんか興味ないだろうなとは思っていたの。結婚もそう……なんだか沖田と落合さんに追い込まれて逃げ込んできた女がたまたま目の前にいたから、お互いに適齢期だったから結婚しようかなんて流れだったし」 「え、僕は適齢期で目の前に美佳子がいたから適当に結婚した訳じゃあないよ」 「うん、わかっている。でも最初は『結婚がしたかったからどの男でも良い女』だと徹平君は思っているだろうと。そう思っていた」  確かに。そう思うことはたまにあった。だから僕の様子をよく見て敏感になっていた美佳子も『僕なんて都合良くそこにいた男なんだ』なんて思っていた夫の姿を察知していたのかも? 結婚十年目になって妻の気持ちを初めて知る気分だった。 「でも。私、違うから。本当はボンゴレを食べさせてくれた時に、もう一気に恋していたんだから」 「そうだったの?」  そうよ。と、美佳子が笑う。
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