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「私は辛かった時に徹平君の胸に逃げ込んできた女だから。口で『好き、愛している』と言っても、徹平君はきっと『言ってくれているだけ』と思っちゃうだろうから、私、『言葉じゃなくて、毎日一緒にいること』で何年もかけて徹平君に信じてもらおうと思っていたの。ずっと、私の片想いでいつか徹平君に『美佳子は本当に僕を心から愛してくれているんだね、嬉しいよ』て感じてもらうよう毎日少しずつ積み重ねていこうと誓ったの。だから、私の最後の恋なの」
嘘だ! 僕は再度叫びたかった。美佳子が片想い? そんなとんでもない。だから僕も負けずに妻に言った。
「なに言ってるんだよ。僕が美佳子を先に好きになっていたんだから」
「え、そうなの!」
とてつもなく妻も驚いた顔。僕もそれが意外でびっくり。っていうか……もしかして、僕……。
「僕が美佳子のことずっと好きだったてこと、コンサルに来た時から片想いだったこと。僕、言わなかったっけ?」
「ええ、そんなこと徹平君、一度も言ってくれていないわよ。嘘、そっちが嘘!」
美佳子も仰天したようで、あまりの驚きに途端に頬を真っ赤にして否定する顔になっている。
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