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つまり。営業の若い彼と付きあっていると公表してもらえた若い彼女が、彼が少しでも興味を持っていた女性を憎く思い、美佳子が不利になる噂を流した――ということらしい。
「それはヒドイ」
女ってこえー。ほんと、僕は心底思った。あることないこと自分を良く見せるためなら、あるいは相手を貶めるためなら『平気で嘘を言う』のかと。
これは僕も同情してしまう。
「安永さんもそこは『大人げない人間になりたくない』じゃなくて、ちゃんと反論した方がいいと思うな」
「会社で? 私はエッチしていない、あの年増女が私の彼とエッチしたとか言い合うの? 先に場違いなカードを切って私を勝手に土俵にあげたのはあっちなんだから。でも私は少なくともそんな愚かな土俵にはまだ立ったつもりはないから」
彼女らしい言い分だ――と僕も納得してしまう。でも、このままでは……。でも、僕も彼女と同じ意見だった。
たとえ、嘘でも本当でも。確かに職場で『男を寝取った寝取られた』とやり合うのは場違い。それに、僕もそんなみっともない美佳子は見たくなかった。どんな男の噂も『噂で終われる』そんな彼女であって欲しい。
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