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女二人でまるで呪いでもかけているかのような恐ろしい笑みを見せ合っている。それを間で見ている僕も苦笑い。やっぱり女は怖いわ。
そんな彼女達が『大丈夫、大丈夫。絶対にまた係長にもチャンスが来るって』と宥めてくれるので、僕もにっこりとひとこと。
「えっとー。違う意味でめでたいことが……」
「なあに。美佳子ちゃんが仕事を始める気になったとか言っていたけど」
「美佳子さん、いいところ見つけたんですか?」
補佐の二人に詰め寄られつつも、僕はもう笑みが抑えられずにこにこにこにこして彼女達に告げた。
「じゃなくて。美佳子の身体がおめでた」
妻がおめでた。
目の前の女性二人、目を丸くして固まっている。そして瞬きせぬ目でずうっと僕を凝視している。
「夫妻共に四十過ぎているけど、えっと、頑張ってもう一人育てていくことにしました」
「えーーー! なにそれ、てっちゃん!!」
「え、え。み、美佳子さんも、頑張って産むってことですか、それ!」
「うん。高齢出産だけど現代医学を信じて、頑張ることにしました」
なんなのそれーー! 本当の『おめでた』じゃないーー!!
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