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落合主任からの報告を受け、課長のデスクに座り、僕は電話機へと手を伸ばす。法人コンサル室は規模は小さいが、精鋭のコンサル員を集めたハイクオリティな部署。そこで男女問わず最高のコンサルに磨きをかける社員が法人相手に意欲的に仕事をしていた。
「すみません、課長。冷たい麦茶を切らしていました」
「はあ? 一時間後はもうお客様がいらっしゃるだろ」
チェック不足で申し訳ありません――と、コンサル修行中の青年が僕に頭を下げる。
「いいよ。僕がそこのコンビニで買ってくる」
え、課長が! と、アウトコールで各企業に連絡をしていたメンバーがヘッドセットをしたまま課長デスクへと一斉に視線を集めてきた。
「課長、そんな。私達が行きますよ」
「そうですよ。僕のミスだから僕が行きます!」
「いいから。コールに戻って。コールに集中して。その代わり、僕が買い物に行っている間のクレーム処理はなんとかやってくれよ」
唖然としている彼等の返答も聞かず、僕は緩めていたネクタイを締め直しコンサル室を飛び出した。
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