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外は蝉の声、真っ青な空が眩しい。冷房が効いた本部の一室を出ると途端に汗が噴き出す灼熱の国道沿い。僕はコンビニへと目指す。
「課長」
呼ばれ振り返ると、落合さんが僕を追いかけてきていた。
「やはり私が行きます。課長がコンサル室を空けてはいけませんから」
「いいよ。僕が外に出たかったんだ」
『まあ、サボりですか。佐川課長らしくない』と、落合さんが意外という顔を見せた。
「実は、睡眠時間が減っているから眠いんだ。僕も歳だからさあ」
「そうでしたか。明け方は子守りパパですものね。そういうことなら」
「麦茶を買うついでに、冷たい栄養ドリンクでも飲んで目を覚ましてくるよ」
もうすぐそこに見えているコンビニエンスストアを僕は指さして笑う。落合さんもそっと微笑んでくれた。
「では、私戻ります」
「十五分で戻るから。その間よろしく、主任」
「なにかあったら携帯に連絡しますから、慌てずに気分転換してきてください」
彼女が手を振って本部ビルに戻っていく――。
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