エピローグ 【 お椿さん 】*私が貴方と結婚したのはね……?*

20/20

1913人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
「あ、美佳子。うん、大丈夫。今から眠気覚ましにコンビニに行くところ。え、コンサル室を放置って? 落合さんがいるし……。ああ、うん、わかった。帰りにドラッグストアで買ってくる」  オムツと粉ミルクを買ってきてくれとの連絡。 『徹平君。今日のご飯、鰹のタタキとぶっかけうどん、どっちがいい?』 「うーん。鰹のタタキ!」 『わかった。冷酒も準備して待っているから気をつけて帰ってきてね』  うんと頷く受話器の向こう、元気な息子の泣き声が聞こえてきた。  じゃあねと僕たちは電話を切る。  信号が青に変わり、僕は歩き出す。  路面電車がのんびり走る大通りを横断する時、本丸が見える城山からの夏風がネクタイを揺らした。港が見える城下町、僕の生まれ故郷。やっぱり僕はずっと変わらない。  僕は今日も、いつも通り。    ◆ 奥さんに、片想い/完 ◆ (続編、番外編へつづく)
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1913人が本棚に入れています
本棚に追加