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「あの、俺も、昼飯で、さっきコンビニに行ったら、佐川課長に会って、今日、落合主任が、一緒じゃないから、どうしたかって聞いたら、先に昼休みに行かせたって、聞いて」
もうまどろっこしい――。顔をしかめてしまう。結論から言えないのか、と。長い前置きを、さらに息切らしながらの話し方で余計にイラッとする。
「きっと、ここだろうっておもって……」
もうここでランチをするのはやめにしよう――。千夏は本気で思った。すごく気に入っていたのに。ここで一人でのんびりと昼休みを過ごすこと。ある日、この彼に見つかってから、あまり安心できる場所ではなくなってしまった。
「落合主任。もう、食べ終わったんですか」
「ええ。帰るところ」
「一緒に食べたかったなあ」
彼の手にはコンビニのレジ袋。そこに幕の内弁当がちらっと見えたのだが。なんとその他に、おにぎりが三つと唐揚げパックも入っていてギョッとしてしまった。
「それ、お昼なの。それともおやつとか夜食ってこと」
彼がバツが悪そうに短い黒髪をかいた。
「ぜんぶ昼飯ですよ」
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