イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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 うざっ。早速そんな言い方! すぐそう思うなんて、なんだかストレートすぎ。もうちょっとスマートに三十代の男女としての『控えめな会話』が出来ないの? なんて思うが、相手は自分より五つも年下なのであからさまに邪険にする幼稚な女にはなりたくない。だから自分が大人の女として落ち着いた顔を保ち、でも興味なんてないんだからと素っ気なく答えてやる。 「聞かなくてもわかるわよ。柔道でしょ、柔道」  柔道か剣道か空手か相撲かしらないけど、正解でも不正解でもどーでもいい。自分から振った話とはいえ、千夏はさっさと切り上げて彼から離れようとする。 「俺、市内商業高の出身なんです」  それを聞いて千夏はまた目を丸くした――。 「まさか、野球とか!?」 「そうっす。野球」  市内商業高校といえば、野球の名門。全国大会甲子園で何度も優勝を遂げている歴史ある野球部がある高校だ。そこの出身だという。そんな彼を知り、千夏がすぐに思い浮かんだこと。 「もしかして、キャッチャーだった?」  彼がまた嬉しそうに笑う。本当に邪気なんてナシ、無垢で赤ん坊のまま大きくなった男の子のように――。 「正解です!」 「ド、ドカベン!」
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