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「あはは。実力なかったし、万年補欠だったからそこまでは言われなかったけど。でも、時々はそういわれました」
でもあのイメージそのもの。つぶらな目がにっこりすると糸のように細くなり柔らかに緩む。おおらかそうな雰囲気はあのキャラを思わせる。
「あ、これ。主任、探していたんじゃないですか」
そんな彼がもうひとつ別に持っていた小さなレジ袋から四角い箱をひとつ。こちらに差し出してくれる。それを見て千夏はまた彼に引き留められてしまう。
「これ。季節限定の生チョコ! そこのコンビニではぜーんぶ売り切れで最近全然買えなくなっちゃって」
「ここらあたりにはなかったけど、今日外回りで出かけた先のコンビニにはあったからお土産に」
「……いいの?」
「もちろん。俺は甘いのは苦手っすから。最初から主任に食べてもらおうと思って」
また彼がにこっと笑う。
「あ、ありがとう。頂きます」
さらににこっにこっと満足そうに微笑む彼。そこに邪気はひとつもない。まっすぐに千夏を見て、裏表なく千夏の為にしたことで千夏が喜ぶことを喜んでいる――。嘘じゃない笑顔だと信じられる。彼はそういう人。
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