イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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「佐川課長が同じ事を言ったから」 「ああ、そういうことね。なるほど」  流石、佐川課長。なんて良く気の付く人。あの人は『この仕事は僕の仕事』と決めたらとことんやり尽くす人だった。それでここまでやってきた男性なのだ。育ててもらった部下として感無量、感動の瞬間でもある。  冷蔵庫を開けると、ちゃんと大きなペットボトルがある。 「こうしてくれると、私もガミガミ言う鬼ババにならなくて済むのにねえ。ほんと、課長のおかげでまたうるさいお局様にならなくて済んだわ」  なんていつもの『鬼ババ局様』の異名を自分から口にしてみた。すると若い彼等がまた顔を見合わせて、ちょっとおかしそうだった。 「なによ、なに」 「冷蔵庫の奥、見てください」  なになに? 「いいから見てくださいよ」  彼等に言われて冷蔵庫の奥を覗くと、そこには千夏がよく食べているものが……。 「ティラミス!」 「俺達のお土産です」 「主任がよく食べているから買っていこうって、なったんですよ」  なに。今日はスイーツデー?? しかも若い男の子達からわんさかと貢がれて?  でもそれだけで、彼等が楽しそうに笑っている。何故そんなに笑うのか、千夏は眉をひそめる。
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