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「佐川課長が同じ事を言ったから」
「ああ、そういうことね。なるほど」
流石、佐川課長。なんて良く気の付く人。あの人は『この仕事は僕の仕事』と決めたらとことんやり尽くす人だった。それでここまでやってきた男性なのだ。育ててもらった部下として感無量、感動の瞬間でもある。
冷蔵庫を開けると、ちゃんと大きなペットボトルがある。
「こうしてくれると、私もガミガミ言う鬼ババにならなくて済むのにねえ。ほんと、課長のおかげでまたうるさいお局様にならなくて済んだわ」
なんていつもの『鬼ババ局様』の異名を自分から口にしてみた。すると若い彼等がまた顔を見合わせて、ちょっとおかしそうだった。
「なによ、なに」
「冷蔵庫の奥、見てください」
なになに?
「いいから見てくださいよ」
彼等に言われて冷蔵庫の奥を覗くと、そこには千夏がよく食べているものが……。
「ティラミス!」
「俺達のお土産です」
「主任がよく食べているから買っていこうって、なったんですよ」
なに。今日はスイーツデー?? しかも若い男の子達からわんさかと貢がれて?
でもそれだけで、彼等が楽しそうに笑っている。何故そんなに笑うのか、千夏は眉をひそめる。
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