イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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「落合さんは、鬼ババなんかじゃないですよ」 「そうですよ。甘いものを見てそんな優しい顔もするじゃないですか」 「な、なによ。なんのつもりなのよっ。胡麻をすっても、鬼ババのままですからね」  素直にならないお局姉様をみて、彼等がまだ楽しそうに笑う。 「佐川課長が言っていましたよ」 「な、なんて?」  千夏の胸がドキッとする。 「自分に厳しいから他人にも厳しくなるだけで、とっても良く気が付くところは、女性らしくなくちゃできないて」 「仕事は男顔負けの姉御でも、たまには男の僕たちが女性らしいところもフォローしてあげないとって言われたんですよ」  突然、千夏の胸がずきゅんと縮まり、血液が熱く顔や耳に集まってくる感触になる。でもでも、若い彼等に絶対に悟られまいと必死に平静を装う。 「ありがとう。これ、今日の中休みに頂くわね」  にっこり微笑みを返し、なんとか余裕のお局姉様でいられた。彼等もほっとした顔を見せている。 「主任、ちょっと背負い込みだって。みんなで言っているんですよ」 「前年度のロスを背負って法人コンサル室にきたから、仕方がないですけど。少し息抜きしたほうがいいですよ」
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