イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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 キリキリしている鬼ババをにっこりさせる余裕を持たせる。その為の『スイーツ』かと、一気に良い気分が霧散する。 「なに言っているの! そのロスを早く解消しなくちゃ貴方達も仕事がしづらいでしょ。貴方達の失態でもないのに顧客に怒られてばっかりで!」  自分でも思うが、こういう性格で、つい厳しく変貌してしまう。やっかいな性格、嫌になる。それでも……。 「佐川課長がどんなに……」  何故、こんなに必死になってしまうのか。そう思うと、いつもいつも、千夏の中で熱いものが込み上げる。その思いがついに溢れ出てしまう。 「佐川課長が転属してきてすぐ、どれだけ頭を下げまくって、けなされまくって、会社の失態をフォローしていると思っているの? 足蹴にされているところ、貴方達見たことがないでしょ」 『す、すみません』。気遣ってくれた彼等が揃って頭を下げてきたのを見て、千夏もハッと我に返った。 「ご、ごめんなさい。カッとなっちゃって。う、うん。来たばかりの私に……有り難う。これ大好きだから」 「いえ……。俺達も、去年から厳しい状況下の中、主任が来てから何度も庇ってもらって。それだけでたいぶ気が楽になったもんだから」
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