イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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 ――気を取り直して。あんまり行儀良くないが、そこの中程の階段に腰をかけ、食べかけのサンドウィッチを取り出す。  中途半端なランチ、でも若い男の子達の気遣い、なのにすぐにその空気を壊してしまう自我の強さ。そして……なんだか懸命にアプローチしてくる彼。素直になれない自分。そして課長の……。アップダウンが激しすぎる。 「あー、またこんなところで休憩しているな」  その声にドキッとして振り返ると、階段の上、入り口がある踊り場に佐川課長が立っていた。  眠気覚ましなのか、片手には栄養ドリンク。それの蓋を捻り開け、市内の風景を一望しながら飲み干す姿がそこにあった。  奥さんが選んだのか洒落たネクタイ。踊り場に吹く風にはためかせ一息つく姿を、千夏は暫し息を潜め見上げていた。  でもずっと見ていてもどうしようもない。課長と仕事以外で二人きり、手持ち無沙汰になりたくないから千夏から口を開く。 「課長のせいですよ」  え、僕のせい? とぼけた顔をして。この人もほんと邪気がないって言うか。でもこちらは大人の男、とぼけた顔をしてすぐに千夏が言いたいことをわかって笑い出す。 「もしかして河野君のこと?」
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