イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

17/29

1912人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
「そうしたら、やっぱりすごいんだよ。僕なんかちょっとの球でびびってしまうのに。河野君は速度がマックスになってもガンガンかっ飛ばすんだ。あの身体でバットを大きく振ったら、それはもう豪快。僕自身がヒットしなくても、彼がバッティングしているのを見ているだけでスカッとする。本当に『カキーン』て空高く飛んでいくんだ。周りの客も連打する河野君に魅入っていたよ」 『男が惚れてしまう男』らしい。男同士だから通じる『格好良さ』に課長は感動しているようだった。  で、そんな話に興奮していた佐川課長がそこで急に千夏を見下ろし言った。 「今度、落合さんも一緒に行こうよ」  もうちょっとでこの男性の柔らかさに騙されるところだった……。 「興味ありません」  キッパリ言い返すと、佐川課長も苦笑い。 「変わらないね、そういうところ。ま、その気になったらいつでも僕に言ってよ。明後日も河野君とバッティングセンターに行く約束しているから」  あからさまな『仲介』。でもそんなこと課長も自覚しているし千夏にもばれていると分かって余裕の顔だった。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1912人が本棚に入れています
本棚に追加