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「寝取ってはいないけど、『みっともない』は、本当のこと。私がショックだったのは、『みっともない』自覚が私自身になかったことよ。本当に馬鹿みたい。若い男の子にちょっと褒められて、その気になっちゃって。最近は年下の男の子と付きあうことだって世間的にそんなに変なことじゃない。そういう甘えがあったのよ。『誘われたなら年下でもついてゆく』なんて自覚もユルユルになって、ほんとみっともない年増だって思ったら、すっごくすごく情けなくて……。喜んで彼の誘いについていった大人のはずの自分が恥ずかしい。そんな自分を殺したかった」
驚いた。平気で人を罵る若い女の子を憎むどころか、自分の非を憎むとは。でも僕はこの時、ほんとうに『彼女が好きだ』とかあっと熱くなるのを覚えた。やっぱり彼女はこういう人だと。
「情けない自分にショックだったんだ……」
「もう三十歳越えた。いままでしっかり社会を見てきた大人だから大丈夫。なんて、思い上がっていたのね。ほら……三十過ぎて、だんだんと男性とのご縁もなくなってきて。ちょっとした焦りもあったのかも。年下の男の子に嬉しいことを沢山言われて舞い上がっちゃって。ほんと、私ってバカ!」
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