イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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 まさかね。十年前は『地味でなんにもない佐川主任』――なんて思っていたけど。『化けたなあ』とほんと思う。  そしてあの美佳子さんは、本当にいい男を見る目があったと痛感する。佐川夫妻が結婚した時、美佳子さんのことを地味な男に逃げた女と後ろ指さして勝ち誇っていたことがある。でもあの時にはもう――彼女は誰に何を言われても、佐川課長の良さを見極めて惚れ込んでいたのだと今ならわかる。  男四十、生き様が魅力として滲み出てくる年齢。この時、どんなに焦がれても、その男は既に他の女の夫。若い時に見極めた女が勝ち。  ああ、悔しい。どんなに悔しがっても、当時、ひとつも格好良いだんなんて思わなかったのだから、どう足掻いても千夏の手に届く男性ではなかったのだ。つまり男を見る目ナシ!
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