イニング1 【 先攻◇年下男は熱闘体育会系 】

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 それどころか、課長はいい大人の男になったと思う。結婚してから少しずつお洒落になってきたのも、きっと奥さんの美佳子さんがそうしているのだろう。いつもパリッとしているシャツに、その時々に流行っているネクタイをさりげなく選んでいる。シャツも本部に来てから急にスタイリッシュになった。悪いが昔から同じ支局にいた同僚としては、佐川さん自身にこのセンスがあるとは思えない。絶対に奥さんが揃えている。でも似合っている。 (はあー。美佳子さんがそうしているとわかっていても……)  今の千夏にはいちばんときめく…… 「佐川課長、お疲れ様です!!」  密かに課長と二人きりの時間を和んでいたら、コンサル室の入り口からそんな大声が響き渡った。すっかり気を緩めていただけに、千夏の胸はびっくり飛び上がる。 「あ、落合主任も!!」  うわっ。そうだった。今日は彼と課長が約束をしている日。またもや千夏は急いで帰り支度をはじめる。  もうもうもう。毎日毎日、最後に佐川課長と一日を労うひとときを励みにして頑張っているというのに。その大事な時間を邪魔された気分。
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