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ええっ? 思わぬ言葉が返ってきて、千夏はつい……避けていた彼の顔を直視してしまった。やっぱり彼があのにまーっとした邪気のない目を細めた微笑みで千夏を見ている。
「性格悪い奴は自分から性格悪いだなんて言わないっすよ」
「いまはともかく! 本当の私は」
「もしかして、ずっと前のご自分のことを仰っているんですか? どんなことを気に病んでいるのか知りませんが、誰だって二十代の時にはあるんじゃないですか。そういうこと。そんなのもう関係ないでしょ。このとおり、カッコイイ素敵な女性になられたんだから」
はあ、はあ? なに、そんなに臆面もなくすらすらと『素敵』とか言ってくれちゃうの!? なのに。迂闊にも『もう関係ない』という彼の言葉に、じーんと来てしまった……じゃないの!?
絶対に奥手そうな体育会系の大男。簡単に言うと、熊系? 太ってはいないけど、背が高くて大きいからどーしても熊にみえる。そういうスマートそうじゃない男が、すらすらと女を褒めるのが意外で千夏は仰天。調子が狂いっぱなし。
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