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そんな顔でニコニコしている年下の元球児。もう千夏には全てが予想外で、何故か身体がかあっとしていた。だってだって私の大人の女としての余裕って、全然どこにもなくなっている。全然大人の女じゃない。素直な彼に気圧されているのは年上の私?
「ただいまー。お待たせー」
なに食わぬ顔で、佐川課長が帰ってきた。
千夏は急いで荷物をまとめ、今の顔を課長に見られないよう、逃げるようにコンサル室を飛び出していた。
バカ! 野球と恋を一緒にしないでよ!
なにが9回裏2アウト、よ!! まるで頑張れば、そこから奇跡が起こせるみたいな言い方。そんな上手い話があるわけない!
ぜったいにぜったいにぜったいに。あんなに素直な彼と、こんな私が上手く行くはずない!
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