イニング2 【 後攻◇お局主任はおひとり様 】

4/23

1910人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
 千夏は唖然とする。聞こうとしてやめてしまった問いかけの答え。それを彼から真顔で言ってくれた。まるで千夏の心の中が見えているみたいでびっくりする。それに。本当に正直で真っ直ぐすぎる男の人って……一歩間違えればキザだと思ってもおかしくないこと平気で言う。のに、キザじゃないから困ってしまう。つまり憎めなくて、嫌な気が起こらなくなってしまうのだ。だから千夏も笑顔になってしまう。 「これからどうするの? どこか連れて行ってくれるの」 「勿論、勿論! そっちが目的ですよ!」  さ、車に乗ってください! 嬉しそうな彼の誘いに、千夏は素っ気ない顔を保って車に向かう。  そう、彼と楽しもうと思ってきたんじゃない。今日こそ、ハッキリ言わなくちゃ。佐川課長のことを誤魔化すのではなく、本気で好きだって言ってしまおう。  眠れぬ夜、雨音の中、決めたこと。だから今日、ここに来た。    ―◆・◆・◆・◆・◆―
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1910人が本棚に入れています
本棚に追加