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「だから、昼休みに一人オフィスを飛び出して、堀端にいるんでしょう。午前中はエネルギーを思いっきり人に向けて、主任自身もギリギリの状態まで自分を追いつめてパワーを発揮。そりゃ、昼休みぐらい一人きりになってチャージでもしないとやっていけないでしょう」
だから、ここでもそっとしてくれているのか。だが千夏は益々彼の気持ちを知って戸惑う。なんだか表面だけじゃない『私』を彼は一生懸命見てくれている気がした瞬間。
「あのー。なにか話して良いなら、俺、いっぱい話したいんですけどー」
「そうなの?」
そんなにお喋りが得意そうには見えなかったから、黙っているのかと思っていたのに。
「話したいことってなに?」
「え、いいんですか? 俺、落合主任が静かにしているほうが心地良いなら静かにしています。だって、すっごい優しい顔をしていたから」
でた。また……そんな人をびっくり嬉しくさせてしまう一言をなにげなく。しかも嫌味なく。ほんと、困る。顔が熱くなる。心臓も大きく動くし。嘘っぽい男ならここで鼻で笑って済ませられるのに。この子の場合はそれが出来ない。
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