シーズン1 【 独身 】*僕はいわゆる『いい人』、つねに対象外*

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 美佳子がほんとうに羨ましそうに見てばかりいるので、フォークを手にしても僕も食べるに食べられなくなる。  そして僕は決めた。伝票を置いて去っていこうとする店員を呼び止める。 「あの、グラスワインを白で。ひとつ」 『かしこまりました』と店員が去っていく。  そして僕は美佳子の前にボンゴレの皿を差し出す。彼女の不思議そうな顔。 「交換する?」 「え。いいの!」 「僕は何度も食べているし」 「本当にもらっちゃうからっ」 『いいよ、いいよ』と言いながら、僕から彼女のミートソースと交換した。  互いにひとくちずつ、やっと食べる。 「うわー。本当にこのボンゴレおいしー。佐川君、疑ってごめんなさい!」 「うん。たまに食べるとミートソースもうまいなあっ」  互いに、いつもの自分とは違う一皿に舌鼓をうつ。  暫くして、僕が頼んだグラスワインが運ばれてきた。 「こちらに」  そのグラスを彼女の前へとお願いした。また彼女が不思議な顔をしている。 「僕が飲むわけにはいかないでしょう。車を運転して帰らなくちゃいけないんだから」 「え、どうして?」
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