イニング2 【 後攻◇お局主任はおひとり様 】

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「おかしいわよ。それにちゃんと確認しなくちゃ、課長だってそこまで気が利くわけないじゃない。でも、釜飯の鯛飯だって美味しいって。ここが課長のオススメなら間違いないわよ」 「よーし、美味くなかったら課長に文句いわなくちゃ」  あの佐川課長に文句! 美味しいお店を教えたのに文句を言われる課長を思い浮かべただけでおかしい。 「俺、このセット頼む」  食べることに真剣勝負の顔。もう千夏も笑いながらメニューを指さしていた。 「じゃあ、私はこれ」  これだけ笑ってしまったら、独りよがりな腹立たしさも吹っ飛んでしまった。    美味しい昼食でだいぶ肩の力が抜け、河野君とは暫くは他愛もない話をすることが出来た。  レストランを出て、予定通りに彼の車は大橋へと向かう。その間、互いにどこで育ったのか、家族は何人か、どのような家族か。学生時代はどう過ごしてきたか、何をしてきたか。ありきたりな会話だったけれど、お互いを知る為の話が出来た。  河野君は南予地方の出身。野球をするために、こちら中予地方の中心地にある商業高校に推薦で入ったとのこと。高校生で実家を出て寮住まい。だから今の一人暮らしも苦ではないと言う。
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