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「……正直、俺もわかんないんですよ。たぶん、一目惚れってやつなんでしょうね。主任が仕事をしているキビキビしている姿とか、堀端でゆったりくつろいでいる優しい顔とか見ているうちに……。あ、これって一目惚れじゃないですね。いや、一目で気になったから、一目惚れかな」
またまた、顔が熱くなるようなことを連発していってくれているので千夏も反論しにくくなる。
「それで、いつの間にか落合主任のことばかり考えるようになっていました」
車が信号で止まる。彼が助手席にいる千夏を見つめる。
「理屈なんかないですよ。本当に気になって気になって仕様がないから『好き』じゃ、駄目なんですか」
「駄目じゃないけど……。その、私がやってきたこと聞いても平気なの?」
「なんだ、それぐらい――て思いましたけど。この前も言ったでしょ、俺。そんなこと誰にだってあるって」
本当に? こんな気質の女は御免とか思わなかったのだろうか?
「今だって結構、キツイて言われるんだけど。私」
「でも優しいところもあるでしょ。今日だって俺にも気遣ってくれていること、伝わってきましたよ」
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