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「僕が見つけるべきミスだから、もしこれで損害が出たら僕の責任。僕がスルーした物がこれまたそのまま営業本部や経理でスルーされたら、これまた会社の責任。だからこそ、どこかでこのミスは見つかったと思うよ。でもね、これは酷いよ」
「お……仰るとおりです」
ひたすら頭を下げた。それでもいつもは穏やかに流す佐川課長が、今日に限っては容赦なく千夏に向かってくる。
「落合さんらしくない。どこかでフォローしてもらえるだろう単なる桁違い打ち間違いのミスでも、これは仕事に身が入っていない証拠だと僕は思うな」
「仰る……とおり、です……」
謝るばかりの千夏を見て、そこでやっと佐川課長が一息ついた。ぴったりとくっついていたデスクから椅子を少しだけ離して、腕を組みじいっと千夏を見ている。千夏は頭を下げるだけ。
「やっぱりね。落合さん、頑張りすぎたね。僕も頼りすぎていたか」
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