イニング3 【 九回裏◇念ずればヒットする! 】

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 それから彼こそがマシンのように、乱れないフォームでバンバンと打ち返していく。ピリリと高まる気迫の横顔も崩れない。 「すっげー、河野さんやっぱ格好いい」 「あのスピードを連打かよー。やっぱ商業野球部出身はスゲー」  コンサル室の彼等もすっかり魅入っていた。 「俺、さっきやったけど全然ダメだったもんな」 「俺も。フォームを教わってもさっぱり。やっと打てたと思ったら小学生エース級の速球レベルだってさあ」  既に打席にてチャレンジした彼等は、緩やかなスピードに落としてやっと打ち上げられた。  何球か打った河野君が緑のネットに囲まれた打席から帰ってくる。 「よーし、今度は僕だ」  最後は佐川課長。彼も意気揚々とバッティンググローブをはめようとしていたので、千夏は驚いた。 「課長まで、それをするんですか」 「うん。やっぱ、格好良いもんな。僕もやってみたくて。こうやって、ぎゅっとはめるの」  経験もないのに、河野君と通っているうちにかなり嵌ってしまい、ついに自分専用のグローブまで買ってしまったとのこと。
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