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「はい。郊外コルセンのメンテナンスへ。なので直接、公園へ向かうそうです」
と、彼からメールが入っていた。
申し込んでから二日後の約束。場所も千夏が指定した。会社からそれほど遠くはない、河川敷公園だ。
そこからは城山も見え、春は桜並木でも有名な河原だった。公園の真ん中には電鉄の駅まであり、駅の名前も『公園駅』。郊外電車がのんびりと公園と河を横切っていくという、とてものどかな情景がある公園だった。
その河原へと、課長と向かう。助手席でミットを抱えて黙っていると、運転をしている佐川課長の方が落ち着きがない。
「やっぱり、無理だと思うよー」
この男性も。河野君と同じ事を繰り返す。
「奇跡のバックホームで結婚を賭けるって、なんなんだよ。それって」
気持ちに踏ん切りをつけるなら、もっと他に方法がいっぱいあるのではないか――と、佐川課長に何度も言われたが、千夏は譲らなかった。
「あれは甲子園でも語り継がれている、名ファインプレーじゃないか」
「だからですよ。河野君も球児だったなら、あのプレーが如何に『奇跡』だったかわかっているはずですから」
「それで? それが成功したら結婚……?」
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