シーズン2 【 婚約 】*プロポーズ。でも僕はなにももっていないよ?*

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   大学時代から付きあっていたという美佳子の彼のことなど知るよしもない。まったく知らない方がマシだ。  でも彼女と噂になった会社の男達は違う。部署は違えど僕は毎日、彼等を目にする。特に意識などしないが意識しようと思えば『美佳子とどんな関係だったのか』と想像してしまうのが人として当たり前だと思う。すべて『噂にしかならなかった男達』だから、向こうが素知らぬ振りをしてくれるなら、僕だって『元よりないこと』と自然に思うことが出来る。それどころか実際に彼等は『婚約おめでとう』と大人の顔で祝福してくれる。『一人の男を除いて』は。  一人の男? 決まっている。営業のあの『年下の男』だ。  アイツだけは、近ごろ僕の目の前から逃げ回っている。目を合わせても向こうから逃げている。美佳子と彼等若い恋人同士との諍いがあった後の婚約だっただけに、あからさまに避けられている。彼に美佳子への気持ちがもうなくなっても(言っておくが、好い気持ちではなく、悪戯心の気持ちのほうな!)、それでも大人の上手な遊びとしてスッキリ終われずに『騒ぎ』に発展させたぐらいだから、まだわだかまりも生々しく残っていることだろう。
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