1916人が本棚に入れています
本棚に追加
『年下の彼と別れたんだって?』とズバリ聞いて欲しいとか? まさか、そんなこと僕から言いたくもないし聞きたくもない。
「いつも女の子達に優しい佐川君も、職場だけなんだね」
「優しくなんかないよ」
「わかっているんだから。女の子達を上手くなだめすかして円滑に業務を進める。課長がそれを期待して佐川君に女の子達を任せているって」
「ただ一緒に上手く行くようにと思って、普通にやっているだけだし」
「そういう言い方、喋り方。上手いよね」
ああもう。なんか絡んでくるなあと、僕は困り果てる。といっても、女の子達を相手にしていると意味もなく矛先にされていることは良くあることだった。
「なんで私を送っていく、なんて言ってくれたの。それならそれで、いつもの佐川君みたいに慰めてよーー」
彼女がまた涙をボロボロと流して『くすん、くすん』と泣き始めてしまい、僕も困惑するしかない。そして店の中を見渡してハラハラする。
「わ、わかった。なになに。どんな哀しいことがあったんだよ」
いつもそうしているように、とにかく『彼女達の事情』を彼女達の口から聞くことから始めるんだ!
「みんなが、私を避けている……!」
最初のコメントを投稿しよう!