シーズン3 【 新婚 】*疫病神がコウノトリ*

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「殴られたんだな。それだけの原因があったということだろ。こんな会社の中で、そんなこと……」  問題になりかねないと課長は言うが。僕と彼はある意味因縁の間柄。ほんの少し前、一人の女性と深く関わっていた男同士。ここで僕の口から簡単に彼のことを悪く言ったりなんかしたら、すぐさま美佳子を挟んだ『いがみあい』と見られる可能性が高くなる。だから絶対に『業務を全うした』ことにしたかったから僕は口を閉ざす。  どんなに尋ねても答えない僕を見て、『あの課長。私、見ていたんですけど』と先程の女の子の一人が弁護にやってきてくれた。だが自分はアイツより信念を通したいから無言を貫く、その代わりに女の子に言ってもらうだなんて男じゃない。彼女達が言葉を使う業務で顧客との接点最前線で戦っている時、その武器を使えなくなった時に援護すべき男がこの様に助けてもらうだなんて。僕にとってはとんでもないこと。彼女の口から言わせるぐらいなら――。 「沖田君に殴られました」 「なに。営業のか……。殴り返したのか?」  僕は首を振る。課長がホッとした顔をした。 「分かった。もう戻って良いぞ」 「はい」
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