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そんな彼女と、なにかを振り払うように、確かめ合うように、貪るように抱き合ったのを思い出したのだ。
あの時の子?
僕たちは、あの男があって結婚し、あの男に関わって子供を授かったというのだろうか。
もし疫病神がいるならば。その男だ。
僕の幸せの少し前に現れて、あいつはいつまでも僕たち夫妻のまわりをウロウロしている。
その度に妻が取り乱す。もう、そんなの御免だ。
しかし。次の異動シーズン。営業の彼は異動となり、他の支局へと出て行った。
彼は僕の目の前から消えたのだ。
僕と美佳子のところに来た子供は、女の子。
家族三人、つつがない日々を過ごしいつのまにか数年が経っていた。
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