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帰る時間も変わらない。係長になった以外はなにも変わらない。まわりの女の子達のほうがくるくる変わっていく。結婚したり異動したり辞めてしまったり。あ、あのおばちゃんはまだ頑張っている。それがパートからついに社員へと昇格して、僕のことを良く助けてくれる頼りがいあるお母ちゃんだった。
「パパ、お帰り~」
変わらない日々の中、日々著しく変化しつづける一等賞が僕を迎えてくれる。
「ただいま、梨佳。これ買ってきたから、ママと食べな」
「パパ、またコンビニ行ってきたの~。もうコンビニオタクだよね、パパ」
「誰だってコンビニは行くだろう。オタクってなんだよ、オタクって」
それでも娘は白いレジ袋の中身を確かめ、満面の笑み。
「ママー。パパがシュークリーム買ってきてくれたー」
『えー、本当? デザートで食べよう』
キッチンから妻の声。靴を脱いでいる時に彼女が玄関にやってくるのも変わらない。
「お帰り、徹平君」
「うん。ただいま」
「今日も無事終了?」
「いつも通り。田舎のおじいちゃん社長に話がうまく伝わっていなくてクレームとかいろいろ」
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