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「それがね。彼と一緒に行った港の回転寿司屋で、ばったり一階の事務の人たちと会っちゃったこともあってね」
「なるほど。それで二人は付きあっていると。年の差、年上女恋愛とうわっと広まっちゃったんだ」
「そんなことはどーでもいいのよ。だって勝手に勘違いしたほうが勝手なこと言いふらしているだけで、私はなーんにも教えていないし教える必要もないし、隠すようなこともしてないし」
「隠すようなこと?」
だいたい何を言いたいのか僕はかわかっていた。その上で、女の子がオブラートに包んだ中身を僕が剥がすのではなく、包んだ女の子から剥がしてもらおうとする。男から暴くのは失礼かと思って……。だけれど彼女も一度はオブラートに包んだから、もう慎ましやかにしなくてもいいだろうとはっきりさせてくれた。
「彼とはドライブをしただけで、エッチなんてしていないし……」
『はあ。そうなんだ?』――素っ気なく応えながらも、僕の心が晴れやかになっていく。
この急激に盛り上がるテンションは何? ああそうか。彼女が若い男といちゃいちゃしていなかったとわかって僕は嬉しいのか。そっか良かった良かった。なんて……。
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