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「高原さんも頑張っていたよ。黙々と業務を進めてくれて、接客応対も丁寧だったし。五年間、しっかり地道にやってきて最近は一人で何でも手配できるまでになって僕の手伝いもほとんどなかったでしょう。これから東京でも、きっとなんでもやりこなせるよ」
僕の言葉に、彼女もホッとした笑みを見せてくれる。
「ありがとうございます。佐川係長がそう言ってくれるなら、きっとその通りになれそうだと本気で思えるんですよね。今までもずっとそうでしたから」
僕と彼女は穏やかに微笑みあう。そんな上司と部下の間に、わざわざ休憩室までやってきて割って入る女性が現れる。
「いた、係長っ。探したんですよ。ちょっと来てくださいよ。私の前に応対した人のデーターがむちゃくちゃなんですけど、見てください!」
「う、うん。分かった、今行く」
彼女の登場で、愛ちゃんの顔色が変わってしまう。そんな彼女に気遣うように、愛ちゃんは箱を見えないよう抱きかかえ去っていってしまった。
「お邪魔でしたか?」
「別に」
「係長はえこひいきしないと思っていたけど。違ったみたい」
愛ちゃんが少し大きな包みを持っていたことを目ざとく見つけていたようだった。
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