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この彼女は、来た時からやりにくい女の子だった。それも当然か……。この彼女は二年前にこのコンサル室に配属、事務室から異動してきたあの『沖田の彼女』だった女性。つまり『美佳子さんが私の彼氏を寝取った』と言いふらした張本人だった。
沖田が他の支局営業へと異動して、あっという間に二人は別れたらしい。それからも彼女の立場はあまり良い物ではなかった。それでも平気な顔をして淡々と業務をこなしているうちに、彼女もついにコンサルへと異動してきた。
そんな彼女はある意味嫌われ者だった。彼女も分かっているのか、言葉もキツイしツンと取り澄まして素直じゃない。だから僕は内心、彼女が確信犯的に割って入ってきたのだと予感しながらそっと溜め息。コンサル室に戻り彼女のデスクに座って、その『むちゃくちゃなデータ』とやらを眺めた。
「どれかな」
僕が見る限り、どこも滅茶苦茶ではなさそうだが?
「ここですよ、ここ。なにこれ。前回の応対内容のメモ、たったこれだけなんですよ。前に何を話したかお客様から聞かれたら、全然分からないじゃないですか」
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