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「貴女に迷惑をかけたことは謝ります。でも、仕事とは関係ない職場の裏側を武器にして人を責めること、しかもいつも私達を一生懸命フォローしてくれる係長を傷つけることを言うのは許せない! 係長に謝って!!」
『傷つけないで』なんて。愛ちゃんの気持ちは嬉しいが、僕はここでも嫌な気持ちになった。
この会社の誰もが僕のことを『恋に敗れた女が逃げ道に選んだ男。そのおかげで結婚できた男』と思っている証拠。だから『それに触れると気にする、傷つく』と思っていたんだと、なんとなく判っていたが僕がどのように見られていたかを再認識してしまう。
『ちょっと、二人とももうやめなよ』
『そうよ』
愛ちゃんと落合さんが言い合う間に、周りの女の子達が割ってはいる。オペレーターの彼女達が席を離れて着信を放置するなんてあってはならないこと。そこらじゅうでピーピーと着信音が鳴り響く。
「もう、他の子は席に戻りなさい」
女の子達がもつれ合うなか、田窪さんが割って入ってきた。
「それに、落合さん。まず貴女が佐川君に謝りなさい」
一目置かれているコンサルのお母ちゃんに諭され、流石の落合さんも勢いを緩めた。
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