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という励ましも、とても嬉しいが。僕は『ありがとう』と返しつつも心の中では『そりゃ、結婚が決まった女は皆そうなんだろう』などと、随分とひねくれたことを思い浮かべたりしていた。だが彼女達の話はまだ続く。
「なんたって。いつも淡々としている佐川さんが、どんな人かってのろけがねえ」
え? のろけ?
「そうそう。佐川君は美味しいお店をいっぱい知っていて、何処へでも連れて行ってくれるなんてのろけていたよね。係長は車が大好きでマツダの愛車を大事にしていることも、自分の車を自慢するみたいに話していましたよ」
「でも。佐川さんらしいねて。私達、羨ましかったんですよ」
「係長、女の子の気持ち良く知っていそうだし」
「女の子のツボ、いっぱい知っていそうだから。美佳子さんもそれ知っちゃったから好きになったんだろうねと言っていたんですよ」
「今でも羨ましい!」
「ほんと、私も係長みたいな優しくて落ち着いてる真面目な人に出会いたいなー」
『だから、係長は騙されてなんかいないですよ』と彼女達が笑顔で教えてくれる。
「あ、ありがとう。うん、そうだったんだ。うん、うん」
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