1916人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
彼女達の励ましに礼を述べ、僕は歩き出す。歩き出し……。でもその通路の角を曲がり、僕は壁に拳をぶつけ額を付け崩れ落ちそうになる身体を支えた。
そうだったんだ。あの美佳子が。女の子達に、僕のこと……。
いや、僕がバカだった。本当にバカだった。
僕と美佳子の五年の結婚生活。始まりがキッカケが多少疑わしいものだったとしても、五年は確かに二人で日々を重ねてきた揺るぎないものだろう? 美佳子が僕との結婚を苦痛に思っているような素振りなど一度だって見たことはないのに。
理想と違っていた結婚かも知れない。でも今の美佳子は僕のことをあの家で待ってくれているじゃないか。いつも笑って。なのに。
ひとしれず、僕の目に熱いものが僅かに滲んだ。
―◆・◆・◆・◆・◆―
不在だった課長が『コール回線が一時期混雑していたが何事か』とコール回線入電量のデータから気が付いてしまい、コンサル室での騒ぎが発覚。
数年ぶりに、課長にこってり絞られた。
だが最後に課長が致し方なく呟いてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!