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物わかり良い返事。本当は誘った男が約束を破って、彼女なりに心を痛めていただろうに。
「今夜、僕と一緒に寝れてくれよ。側に隣りにいてくれるだけで良いんだ」
「どうしたの。なんだか、この前もおかしかったわよ。徹平君」
「嫌なことがあったんだ。今日も、嫌なことが」
『え』と驚く小さな声が、今度は僕の耳元に。
僕はいちいち妻に愚痴をこぼしたりしない。嫌なことがあったと家に帰って妻に憤ることもない。だから僕から『嫌なことがあったんだ』なんて妻に寄りかかったので美佳子も驚いているのだろう。
聞かれる前に僕は続ける。
「美佳子。美佳子と一緒にいたいよ。美佳子と眠りたい」
そしてまた。彼女からの言葉を聞く間も与えず、僕は固く抱きしめている腕の中、妻の顔を強引に傾けてキスをした。
「てっぺ……」
言葉も言わせない。それぐらいの気強さで、まるで妻をねじ伏せるかのように。
でも。腕の中の彼女がぐったりと僕の身体にすべてを預けてきてくれた。
「やだ、なに。これ……どういうこと」
唇を離すと、ぼうっとした美佳子が潤んだ黒目で僕を見つめてくれている。
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