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ボク達が住んでいる――いや、収容されている施設は外の世界と隔絶されている。
地球規模の大戦争で負けたボクの国は敵国の植民地になった。当然国民達は奴隷だ。全員捕らえられて収容所送りにされた。そこから必要な人材を随時引き抜くかんじらしい。
戦争で多大な被害が出たため大人達は殆ど仕事にかり出されていて、収容所には子供と年寄りしか残っていない。復興のための労働力にならないとここから出ることは出来ないし、出たところで地獄のような奴隷生活が待っているらしい。
収容施設に残された子供達の多くが両親と切り離されて暮らしている。不安でたまらず、年寄りを親代わりにと寄り添い合っている子も多い。
もっとも、ボクの両親は先の戦争でとっくにあの世に行っているので慣れっこ。一人で気楽に過ごしているけど。
「はぁ……」
溜息が出る。
気楽とは言ったものの、このまま成長したら間違いなく労働力として奴隷の道まっしぐらだ。それまでにはこんなツライ世界が少しでも改善されていればいいと願ったこともあったけど、そんな早期に復興が済むとは到底思えない。十中八九いいように使われるハメになる。
誰がそんな目にあうもんか。
奴隷にされるくらいなら死んだ方がマシだ。
だけどタダで死ぬなんて嫌だし、その前に見たいものもある。
本物の空。
物心がついた頃には両親が死んでいて、いつの間にか収容施設の中。おかげで外の世界のことを全然知らない。
本当の空は時間で色が切り替わるのではなく、ゆっくりと変わっていくこと。その時の色がとても美しいこと。人から聞いた話としては知っているけど、実物は見ていない。
夕焼け。
オレンジ色に焼ける空を、一度でいいから見てみたい。
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