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来年の、夏の海
「海の日」という祝日が制定されたのは比較的新しい。
私は単純に、学校がお休みになるのが嬉しかったが、それ以上でもそれ以下でもない。
よく考えれば一学期の修了式が二・三日早まっただけの事だ。
そしてかったるいことに、町内の子供会の海の遠足まで決められてしまっていた。
「お前の娘、この日は部活ないんだろう、参加は決まりな」
年中酔っぱらっている子供会役員の大工のおじちゃんが、わざわざ家まで押しかけてきて父と母に言い渡した。
まだ日も高いのにビールの匂いを漂わせ、ドロっと濁った眼をしたそいつは好きになれない。
そのおっさんだけではない。
子供会の役員の大人は全員嫌いだった。
中学生になった自分を見る目が、小学生の頃と違ってきた気がして、公民館の夕涼み会でも、映画鑑賞会でも居心地が悪いことこの上ないのだ。
でも、小さい子の面倒を見る要員として中学生も駆り出される。
理不尽だけど受験までの我慢だ。
夏の部活が始まる前の、ほんの一日の真空地帯が、この海の日だった。
2010年夏 宮城県 袖浜海岸
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