7人が本棚に入れています
本棚に追加
声をあげたことで、影に僕が覗いていたのがばれた。僕は、脱兎の勢いでその場から逃げだした。後ろを振り返ることもせず、全力で階段を駆け下り、下駄箱を走り去った。
家に帰ってから、別に逃げなくてよかったのではないか、と考えた。僕があのノートの持ち主だとはわからなかったのではないか?
……いや駄目だな、あれは僕の席だ……同じクラスの人間ならすぐにわかってしまう。しかし僕はクラスの中でも存在感のないほうだ。僕があそこに座っていることを覚えていない可能性もある……などと、我ながら悲しくなってくるような気休めをして、なんとか眠りにつこうとした。
結局布団のなかであれこれ考えて、眠れたのかどうかよくわからない状態で朝を迎えた。
最初のコメントを投稿しよう!