BL小説を置いてきた話

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 声をあげたことで、影に僕が覗いていたのがばれた。僕は、脱兎の勢いでその場から逃げだした。後ろを振り返ることもせず、全力で階段を駆け下り、下駄箱を走り去った。  家に帰ってから、別に逃げなくてよかったのではないか、と考えた。僕があのノートの持ち主だとはわからなかったのではないか?  ……いや駄目だな、あれは僕の席だ……同じクラスの人間ならすぐにわかってしまう。しかし僕はクラスの中でも存在感のないほうだ。僕があそこに座っていることを覚えていない可能性もある……などと、我ながら悲しくなってくるような気休めをして、なんとか眠りにつこうとした。  結局布団のなかであれこれ考えて、眠れたのかどうかよくわからない状態で朝を迎えた。
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