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岡野の質問に、僕の首筋からは汗がどっと噴き出した。それは僕の小説のことだ。引っ込み思案な主人公が、スポーツマンの幼馴染に思いを告げる話。
顔が赤くなっているのを感じる。中学のときに、書いていた小説を見つかったときのことを思い出した。
なんでこんなの描いてんの? とか、お前ホモなの? とか、気持ち悪い、とか、さんざん言われた。今度は岡野にどんなことを言われるのかと思い、思わず身が縮こまる。
「そういうのもあるんだなー」
岡野は、感心した、とでもいうように、へーとかほーとか言っている。
「ど…………」
どういうことだ。僕の小説を馬鹿にするんじゃないのか。
「俺、こういうの初めて読んだんだけどさ、よくわかんないけど、なんかよかった。すげー感動した。長谷川、才能あるんだなー」
「へっ?」
まったく予想もしてなかったことを言われて、僕はまた固まってしまった。
「バスケやってるやつ出てくるし、なんか読みやすかったよー」
言われて僕はすばやく目を伏せた。それは岡野をモデルにしたキャラだったからだ。
その後に岡野が言った言葉に、僕はさらに動揺した。
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