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僕は今日、家に帰って、ノートを学校に忘れてきたのに気づいた。ただの勉強ノートなら問題ないのだが、あのノートはまずい。
あのノートには、僕が授業中にこっそりと書き溜めていた、BL小説が書いてあるのだ……。しかも、実在のクラスメートたちをモデルにしたやつだ。絶対に誰かに見られるわけにはいかない。
僕は部屋に鞄を放り出すと、すぐに高校へ戻ることにした。制服のまま出かけようとする僕を母親が訝ったので、僕は「ちょっと忘れ物」とだけ言って出た。自転車に飛び乗って、高校へと全速力で駆ける。
飛ばした甲斐もあって、高校までは10分ほどで着いた。息を整えて、校舎のほうへ向かう。
校内には、まだ部活で残っている生徒も多くいて活気にあふれている。日が暮れだして、グラウンドでボールを追う生徒の影が伸びはじめていた。
用事のないときに来る学校というのは、来たものを受け付けない異郷のような、独特の空気がある。僕は、ちょっとした居心地の悪さを感じて、早足で校舎へ向かった。
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